いつまでも愛してる

2年前に2ヶ月という短い間だったけど自分たちのもとに宿ってくれたお兄ちゃん(名前を考えようって思うといつも決まって男の子の名前しか思い浮かばなかったから多分そう・・・)には、授かったときの喜び、写真に写る小さな命の大切さ、そして最愛の子が自分たちから離れていくときのどうしようもない哀しさを教えてもらった。

お兄ちゃんが去り一年が経ったある日 通ってる先生から来月から一段階ステップアップした治療をするよって言われ、二人で悩んでいた時にあなたが来てくれた。

お兄ちゃんがこの子を守ってくれている、もしかしたら自分たちのもとを離れたお兄ちゃんが一年かけて戻ってきてくれたかもしれない。そんな喜びを半分、そしてまた離れていってしまうかもという不安を半分持ってすごした10月。

小さいながらも力強く生きたいって願う心音を聞かせてくれて、写真に写っていた小さい光がどんどん輝き始めていくのを見守っていた11月。「このころに動くのが見えるのは珍しいね」っていう話を聞かされて、自分たちの子だものって自慢げに言ってたっけ。

以前からの不安が現実のものとなって襲いかかる12月。突然の出血に過去のことがよぎり、またしても失ってしまうことへの恐怖を感じながら、今にも泣き出しそうな顔でかけよるぼくに、涙ながらに微笑んで迎えてくれた君、そしてなによりも出血に怯えず、元気に動いてくれていた、生きていてくれたあなたがぼくにとってはすごい奇跡を感じた。誰かが言ってたっけ、この子は世に出たいって強く思っている子なんだよって、その言葉がずっと僕に響いていた。あなたと逢える予定日・・・ちゃんと聞いたよ6月だね、あなたの今のこと、これからのことをつづっていく手帳しっかりもらってきたよ 宝物だ。なんでだろう?あなたのことを思うと女の子の名前しか今度は出てこないんだよね・・・

そしてお正月、あなたのことを欲しいってお願いしてた神社にお礼参りに行ったよ。いつもあなたのいるおなかを大事そうに支えてもらいながら、横にいたぼくの神様へのお願い ちゃんと聞いていてくれたかな?ぼくは、健康であれば何も望まない、元気で生まれてきてっていうことばかり、願かけた神社いっぱいあってお礼参りいっぱいしたから、あなたには同じことばかり繰り返すぼくがどう映ってたのかな?

1月17日は戌の日だったね、神社にいってあなたの無事を祈り、帯に願かけてもらったね。その帯にずっと守られていてほしかった。

翌週の月曜に定期健診、ここでも、あなたは元気な姿をしっかり見せていてくれた。手も動くし、足も動く、その様子を夜じっと見ながら、次の検診のときはどのくらい大きくなってるのかなって考えてた。

その次の日だったね、会社にいく途中に一本の電話、2度目の出血。でも、昨日の検診はなにもなかった、昨日の晩にも元気なあなたの姿を見た、5ヶ月だし、前回の出血もあなたは乗り切ってくれてたし、今回も大丈夫、正直そう思ってた。そのあとの2つのメールでぼくはそのことを後悔した。

・・・だめかもしれない・・・

・・・ごめんね・・・

そして、今ぼくたちは逃れようのない現実にぶつかっている。あなたとの別れ・・・

だけど、今でもあなたは力強い命の音をぼくたちに聞かしてくれている。元気にうごいている姿をぼくたちにみせてくれている。まるで、私こんなに元気だよ、別れたくないよ、早く二人に会いたいよって言っているかのように・・・。苦しんでないかな?泣きじゃくってないかな?胸が張り裂けそう・・・こんな形で別れが来るなんて、2日前まで思いもしなかった。事故で最愛の人を亡くすことと似てるかも、脳死の人を前にしてその家族が延命治療を断り電源をきることと似てるかも。

ぼくたちはじぶんたちの判断で、あなたとの出会いをあきらめた。ほんとうにごめんね。あなたの必死に生きたいって願う気持ちに答えることができなくて。これだけは覚えててほしい、本当にあなたと会いたかった、三人で行きたい場所、話したいこと、いっぱいあったんだよ。ほんとうに愛してる。けど、あなたのおかげで、ぼくたちは、いろんなことをもらった。予定日が近づくことの温かい気持ち、手帳をもらうことのうれしい気持ち、あなたに聞こえるようにおなかに話しかけた楽しい時間、写真やビデオで見せてくれた元気な姿、そして、妻が頚管無力症という病気であるということを身をもって教えてくれた。ほんとうに、ほんとうに愛しいわが子。明日かも、次の日かもしれないけど、ほんとうに別れはやってくる。まだね、実感わかないんだ、あなたを思うとどうしようもなく泣けてくるけど、まだおなかの中で生きていてくれてるんだもの。たぶんね、へこんだおなかを見たとき、産道を通ってオギャーとも泣けないあなたが、ほんのただの大切な大切な骨になってしまったとき、言いようもない、経験したこともない深い悲しみが体を包み込むんだろうな。

妹が迷子になったり、ひとりでさみしく泣いていないようにお兄ちゃん、どうか手をつないであげていてね、ぼくたちは二人のこと絶対に忘れません、そしていつかみんなで楽しく過ごせるときがくることを楽しみにしています。そのときは、必ず2人の弟か妹がそばにいるからね。ほんとうにほんとうにありがとう。泣き虫なパパでごめんね。           終

今の正直な気持ちを日記にしてみました。いつでも今のこの気持が思い出せるように、そして少し前に進んでいけるように・・・。今はまだ気持を切り替えることが出来ないけど、少し整理ができそうです。妊娠初期を無事乗り越えてた私たちは子宮頚管無力症という20週前後にみられる切迫流産があることを知りました。それに伴い胎胞脱出という症状も見られ、今、つらい現実にたたされています。もう少しこのことが認知されるようになってほしいなって思います。自分は全く知りませんでした。もしかしたら自分が無知なだけかも・・・。

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